★免疫とは、体を守る防御システムのこと。この力を高めて病気知らずの体になろう!


まずはチェックリストに印をつけてみてください。あなたがどんな病気にかかりやすいタイプかわかります。左側にチェックが多かった人は、がん、動脈硬化、糖尿病などになりやすい「顆粒球」タイプ。右側のほうが多かった人は、花粉症やアトピー性皮膚炎などアレルギー性疾患になりやすい「リンパ球」タイプです。

なぜこんなことがわかるのでしょうか。それは私たちの体にもともと備わっている免疫システムと深い関係があります。

私たちの身のまわりには有害な細菌やウイルスがウヨウヨしていますし、健康な人でも知らないうちにがん細胞が生まれています。

それでも健康を保っていられるのは免疫システムのおかげ。つまり細菌やウイルスが体内に侵入したり、がん細胞が発生したりしたことを感知したら、それを攻撃して死滅させ、体外に排出する免疫システムが働いているからです。

その免疫システムを担うのが、血液中の白血球です。白血球はマクロファージ、顆粒球、リンパ球に分類されます。マクロファージは異物が侵入するとその場に急行し、異物を食べて分解します。顆粒球は比較的大きい異物を丸飲みするのが得意で、リンパ球はそれより小さい異物をとらえるのが得意。リンパ球はふだんリンパ節で眠っているので出動まで時間がかかりますが、自分の中から接着分子を出して異物をとらえて処理します。ケガをしてできる膿や、風邪をひいたときに出る鼻水は、異物を分解した白血球たちの死骸なのです。

リンパ球は一度やっつけた敵を「抗原」として記憶します。そのため2度目の侵入のときは素早く攻撃態勢に入ることができて、発病せずに済みます。よく「はしかに免疫がある」などと言いますが、それがこの免疫です。私たちの体にはこんな素晴らしい自己防御システムが備わっているのです。

この免疫システムがいつもしっかり機能していればいいのですが、免疫システムと私たちの心の状態や生活スタイルは密接に連動しているため、免疫力が低下してしまうことも珍しくありません。



たとえばストレスを感じたり緊張したりすると、白血球の中の顆粒球やリンパ球の割合が変動します。これは交感神経と副交感神経からなる「自律神経」の働きによるものです。健康な人の白血球はマクロファージ5%、顆粒球54~60%、リンパ球35~41%ですが、交感神経が優位になりすぎると顆粒球が増え、副交感神経が優位になりすぎるとリンパ球が増えてしまいます。こうなると、あまり体によくありません。

自律神経には、昼間の活動時間帯に優位になる「交感神経」と、夜、休むとき優位になる「副交感神経」があります。原始時代、野山を駆け回っていた頃の人間は、昼間は命にかかわるようなケガをする確率も高かったはずです。ということは、昼間は素早く細菌やウイルスを食べてくれる顆粒球の出番が多い。そのため昼間は交感神経優位で顆粒球が増えるようになりました。一方、日没後はほとんど活動しないので、食事でとった栄養を吸収しやすくなるよう胃腸の働きを促進し、くつろいだ気分になる副交感神経優位に自然と切り替わります。このときはケガに備えるよりも、食べ物と一緒に入ってくるウイルスのほうが問題なので、ウイルスに強いリンパ球が増えるようになっています。

問題は私たち現代人の生活が、交感神経優位になりがちなことです。たとえば夜遅くまで煌々と電気をつけて、テレビやインターネットなどの刺激を受け続けるのは、常に興奮状態だということ。交感神経優位の状態が長すぎて、顆粒球が増えてしまうのです。

増えすぎた顆粒球は自分の体を攻撃し、組織破壊を起こします。また顆粒球は死ぬとき有害な活性酸素を出すため、がんや胃潰瘍、糖尿病などの病気が引き起こされてしまうというわけです。

それでは副交感神経が優位なら安心かというと、答えはノーです。リンパ球が増えすぎるとアレルギー疾患になりやすくなるほか、血管が開きすぎて低体温になった結果、がんになることもあります。

いちばん望ましいのは顆粒球もリンパ球も増えすぎず、自律神経のバランスのとれた生活を送ること。そのためには自分の性格を知り、「生き方の偏り」を見直すことが欠かせません。

交感神経優位の顆粒球タイプは、色黒で痩身、肉を好んで食べる人が多いようです。がんばり屋で怒りっぽく、ろくに休まず仕事に邁進する傾向があります。これが危険なのです。40歳を過ぎたら免疫力は徐々に低下します。管理職になったら、実務は部下に任せて自分は早く帰ることも必要です。

副交感神経優位のリンパ球タイプは、色白ぽっちゃりでのんびり屋、野菜中心の食事を好む傾向があります。このタイプはリラックスのしすぎで無気力に陥ることもあるので、メリハリのある生活を心がけてください。

また、緊張すると指先が冷たくなることからもわかるように、交感神経優位のときは血行が悪くなります。すると体温が低くなり、体に酸素が運ばれなくなります。近年の研究で、こうした状態ががんの発生に適した環境であることがわかってきました。がん細胞の分裂を抑制する遺伝子が、低体温、低酸素の環境では働きにくいためです。しかし逆に言えば、運動や入浴などで体を温め、深呼吸して酸素を取り入れることで、がん細胞が発生しにくい体内環境になるということです。適切な食事や運動、入浴、深呼吸は、自律神経のバランスをとることにもつながります。

毎日簡単にできる免疫力アップの方法を紹介します。ぜひ習慣にしてください。

体と季節のリズムに合わせた眠りが理想



人間は眠ることで自律神経のバランスをとっているため、睡眠不足では免疫力が低下する。個人差はあるが、7~9時間程度の睡眠時間を確保したい。ただし睡眠時間が長すぎてもリンパ球過剰になるので、寝すぎは禁物だ。夜更かしは交感神経優位になりすぎるし、昼夜逆転生活は副交感神経が優位になりすぎる。やはり基本は早寝早起きだ。ただし起床時間は「毎朝5時起き」などと時刻で決めるより、実際の日の出に合わせるとよい。交感神経が緊張しやすい冬は日の出も遅くなるので、日が昇るまではたっぷり眠ろう。夏は日の出が早いので、起きる時間も早めにし、春と秋はその中間でよい。カーテンを薄めにすると、太陽光で自然に目覚めることができる。

医学博士 安保 徹
1947年、青森県生まれ。医学博士。元・新潟大学大学院医歯学総合研究科教授。著書に『人がガンになるたった2つの条件』『免疫革命』『病気は自分で治す』など多数。